【鎌倉デート下巻】初めてのろくろ体験だぞ。
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前回のあらすじ
おてんば娘の彼女と鎌倉デートに出かけた僕らは「ペアリング作り」と「ろくろ初体験」を目的に邁進していた。
ペアリング作りは何とか達成出来たが、突如としておてんば娘がろくろ体験をだるがり始めてしまう。。
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おてんば娘が、ろくろ体験をだるがり始めてから1時間が立つ頃僕らは鎌倉駅近くの喫茶店に深く腰掛けていた。
ろくろ体験が、だるいとなると何か他のことをしなければならないので新江ノ島水族館に向かうか他のアクティビティを考え始めていた。
うーん、うーんと悩む僕を見かねたおてんば彼女は
「やっぱ、ろくろ行く?せっかくだし」
と申し訳なさそうにこちらを見て口を開いた。
考えるのと予約を取り消して別のことをすることが、面倒くさかった私は彼女に甘え、
「うん、ろくろ行こう。断るのお店に申し訳ないし」
と結局当初の予定通りろくろに向かうことになった。
彼女は普段はわがままだか、そのわがままで誰かに迷惑がかかっていることを知ると途端に謙虚になる根はいい子なのだ。
ろくろ体験に向かう中、大仏キャンディというクソくだらないデカすぎるものを買ってしまった。おてんば娘は私と同じ23歳であるが私には5歳のように思える。
ろくろ体験できるお店の最寄り駅に到着するとおてんば娘が道を案内してくれた。
「8分で着くよ!」
意外にも近かったので私は安堵した。予約時間にもかなり余裕を持って到着出来そうだ。
10分ほど歩いても到着しないことを不思議に思った彼女は再度携帯で道を確認してくれた。彼女はまるで小学生の国語の授業で教科書を読まさせられているような棒読みで発声した。
「車で8分だったわ」
僕らは結局タクシーを拾い、10分遅れた。
ろくろ教室に着くとアンパンマンにたまにでてくるホラーマンのような先生が笑顔で待っていた。教室は僕らだけだったので本当にキャンセルしなくて良かった。アンパンマンとバイキンマンが出演しない回にホラーマンだけでてくる異例を出さずに済んだ。
ろくろ体験はお互い初めてであり、基礎の基礎からホラーマンに教わった。
写真撮影はホラーマンにお願いできずに最後の完成したところだけになってしまったが、結論はとても難しかった。どのくらい難しいかというとオムライスをふわふわにかつ、焦げなく作る難しさに似ている。出来そうで出来ないのだ。
完成した作品は1ヶ月後の郵送なので、別れていればすぐさま破片となるだろう。
ありがとう。ホラーマン。
ろくろ体験を、無事に終えた僕らは家路に着いた。
家路の途中でおてんば娘が
「焼き鳥の銀杏食いてぇ」
とまたもや無茶を言い出したが、自宅周辺にたまたまお店があり、彼女と僕は腹を空かせて駆け込んだ。
食べログで3.5以上の評価が付いている稀有なお店であり地元でも評判の名店な様だ。
到着するやいなや、生ビールで身体の火照りを一気に冷ました。
腹が減っては戦は出来ぬと言ったものでまずは白レバーのムースをバケットとともに堪能した。塩につけたレバームースは一層の輝きを増し、蜂蜜をつけるといつもツンツンしている女性が急な甘えを見せるような変化を起こした。
戦が始まると、直ぐに大将が表れた。
「銀杏破れたりっ」
かなり強引に終点まで流したが、僕は彼女を愛おしく感じたのであった。