【番外編】ブサカワカップルのお恥ずかしい馴初め
現在と過去の顔面偏差値恋愛観
世間のブサイク彼氏と可愛い彼女の馴れ初めとは何なのだろうか。
僕らブサカワカップルの馴初めに触れる前に1度、一般論として過去の恋愛形式と現在の恋愛形式について振り返ろう。
一昔前であれば、恋愛や結婚は同じコミュニティ内で行うことが普通であった(学校や会社、サークル等)。もしくは合コンやお見合いといった催しであろう。
しかし、最近ではインターネットの発達、つまり出会い系アプリの台頭によりネットをきっかけとした出会いが日常となってきた。
このことから何が言えるかいうと、
「顔面偏差値至上主義」が生まれつつあるのだ。
ひと昔前ならば、コミュニティ内での出会いがメインであるので顔についてはある程度妥協されることが求められていたように思う。
80点の異性がコミュニティにいた場合、無理をして90点の異性を探すハードルは南米の陸上選手でさえ高く感じるだろう。
しかし、今となってはマッチングアプリ、SNSで意図も簡単に95点の異性と出会うことが可能だ。
この文明の利器により、我々の恋愛事情は明るくなったように思える。
ところが、この利器は顔面至上主義を作る大きな引き金となってしまった。
言い換えると「下克上」が出来なくなってしまったのである。
コミュニティ内で偏差値40の男が、偏差値60の女性と付き合うことは先程述べたように頻繁に起こる事象であった。
しかし、文明の利器を持った偏差値60の女性は外界に目を向け、自分と同水準もしくはそれ以上の男性を探す選択肢を取るに違いないことは明白なのだ。
この顔面偏差値至上主義の理論からすると、ブサカワカップルが生まれる確率は大きく下がるはずである。
しかし、我々は運良く結ばれている。
これは一体何故なのだろうか。どんなきっかけだったのだろうか。
今1度振り返ってみよう。
初めての最悪な出会い
6月1日、僕は合同コンパのため新宿へと出向いていた。よくお祭り等で着ていた甚平を身にまとっていた。当時合コンや出会いに対する熱意がそこまでなかったため、お笑い役に徹しようとした訳だ。その日の合コンは4対4であると聞かされていたこともその理由のひとつだ。合コンで成功するのは2対2だけだ。
合コン会場には早めに到着したので、先にお店で待つことにした。
お店は座敷で靴を脱ぐタイプで、店員さんは着物っぽい服を着ていた。
僕の着ている甚平でもギリギリ店員感のある雰囲気だったので店員になりきり、ビール等を提供した後に、そのまま着席する「お笑い」を思いついた。
男4人、女3人が揃ったところで僕はビールとお通しを提供した。結構な量だったのでバイトとしてお金を貰っても良いのではないかと考えるほど大変な思いをした。
従業員の口調のまま宴会席につくと、その場にいた女性達からはまずまずの賞賛を得ることができたが、労力に見合わない「お笑い」であった。
女性の1人が遅れてやってくるとのことで、乾杯の音頭をとり、自己紹介にうつった。
自己紹介では「祭 祭男(まつり まつお)」と名乗り、キャラに合わない祭り男を演じることになった。
祭り男として30分ほど飲んだくれていたところ、もう1人の女の子がやってきた。
「うぃっす〜〜〜〜」
場が5秒は凍りついたであろうか。
全身黒装束で腰には孔雀の金のベルトを巻き、バンダナみたいなカチューシャを着けた鼻筋の通った小顔の女だった。
しっかり時間通りに到着していた3人とはまるで別種族の人間であった。
「見て見ないふりをしよう」
男性陣の誰もがそう思った。僕もその1人であった。
その後ワイワイガヤガヤと会が進み、僕もお酒が進み黒装束の女とはあまり話さずに1次会は終わった。
2次会は近くのスタンディングバーになった。アルコール度数が30%近くあるお酒をバンバン飲んでいたので、私はベロンベロンになっていた。
泥酔の中から、ふと意識を戻すと目の前に黒装束の女がいた。僕らのグループ外の男から声をかけられていたが
「てめぇとセックスしねぇよ!!!!」
と暴言を吐いていた。日本社会で生きてきてなぜこのような人間が育つのか疑問に思った。
その後3次会では僕ともう1人の男、そして女性2人、黒装束でうどん屋にいた。
この時、かなり酔っ払っていて断片的にしか記憶が無いが店を出る時は男2人であった。
後で聞いた話だが、女3人で相席屋に行ったらしい。なんとも元気な女たちだ。
今回の合コンは外れ中の外れであった。
しかし、黒装束の女が僕をもやもやとさせていた。
黒装束の女とのデート
僕は、後日彼女をデートに誘っていた。彼女の家から近いみなとみらいを選んだ。お店は適当に予約した「アニヴェルセルカフェ」という初デートで予約してもいいものなのかというお店であったが彼女は気にしないだろう。
当日はみなとみらい駅で待ち合わせをした。どんな奇抜な服装で来るのだろうと思ってドキドキしながら待っていると
以前の合コンの時とは違い、可愛らしい服装であらわれたので一瞬別の人かと思った。
妙な緊張感を持ちつつ、お店に向かった。
席につき、晩御飯を食べながらたわいも無い話をしたのか、真面目な話をしたのか忘れてしまったがドキドキしながら話したことを覚えている。
僕は彼女に恋をしてしまったようだ。
お店を出ても、まだ話したかった僕は散歩しながら飲もうと提案し、山下公園で座りながら飲むことになった。
みなとみらいの夜景と太平洋を眺めながら横浜ビールを一緒に飲んだ。素敵な時間はあっという間に過ぎ、僕達は終電ギリギリになるまで一緒にいた。
僕達は半月後、七夕ディズニーに行くことを約束し別れた。
ブサカワカップルの誕生の日
横浜デートから数日後彼女から連絡が届いた。
「今週の土曜空いてる?」
なんと彼女からお誘いが来たのだ。
二つ返事でOKを出した僕は週末を楽しみに仕事に励んだ。
週末は彼女と恵比寿で待ち合わせをした。お店を決めていなかったので、恵比寿strangerの僕は取り敢えず恵比寿ガーデンプレイスに行ってみたが良さそうなお店がなく、その辺のお店でお酒を1杯だけ飲み恵比寿横丁へと向かった。
恵比寿横丁では肉寿司なるものが有名であるので、例に則り僕らは肉寿司を食べることにした。
肉寿司のお店は味だけでなく良い点があった。エッチなお酒が置いてあるのだ。
こんなことわざがある。
「エロエロ桃ベリーニを飲んだ女も歩ければ、ちん棒にあたる」
そう、僕のちん棒は膨れ上がっていた。
はやるちん棒を抑え、私は仏の顔で彼女の話を聞いていた。話は僕らの出会った合コンの話題になった。なんと僕らの他にも1組カップルが出来そうになっていたのだ。ところが彼等は映画「アラジン」を観て以降連絡を取り合っていないとのことだった。
細かな事情はさておき、なぜディズニー映画を観た男女が離れ離れになるのだろうか。
この謎に迫るため、僕らはその日のレイトショーでアラジンを観に行くことにした。
恵比寿横丁からいきなりディズニーの世界に入り込むと高低差で耳がキーンとなりかねないので、映画までの時間僕らは30分程カラオケでディズニーソングを歌うことにした。
カラオケではアナ雪のとびら開けてをデュエットしたり、アラジンのA whole new worldの予習をした。
映画が始まるとカラオケの効果もあったのかすっかりウィル・スミスの作るディズニーワールドに入りこんでしまった。
彼女と繋いでいる左手を除いて。
無事にジーニー(シャレではない)が自由になり、映画が終わった。
エンドロールが流れ始めると、彼女と映画中ずっと繋いで汗で湿ってしまった左手を強く握り彼女とキスをしていた。これが2人の初めてのキスであった。よくここまで我慢したものである。
映画館から出ると僕は彼女に告白しようと彼女の目を見つめ、愛の言葉を放った。
僕「ゆうか、僕の味噌汁を作ってくれないか」
彼女「いや、はえーだろ!」
僕「僕のお嫁さんになってくれないか」
彼女「いや、1個飛ばしてるだろ!」
僕「僕と、、付き合わない?」
彼女「、、、いいよ?」
無事にカップルとなったはいいものの、時刻は終電をとおに過ぎ25時近くになっていた。
僕「うち、、来る?」
彼女「、、いいよ?」
タクシーに乗り、僕は今後の2人の期待とちん棒を膨らませていた。